
書きはじめたら、どうにも長くなってしまいました。
ちょっと長いですが、サロンにご興味お持ちの方、おつきあいいただければ幸いです。
サロン勤務での方針やコース時間に左右されず、一人一人の体に沿った施術をできる環境を求めて、2009年12月より、個人サロンを始めました。
体への様々なセラピーの世界に足を踏み入れたのは、2004年。
それまで劇団員としての活動の中で、心と体の表現について日々模索していたことや、
身近な人たちの心身の不調について、何かいい方法がないかと調べていたことから
「心」と「体」を「ひとつのもの」としてみる、東洋医学に興味をもちました。
中医学を学んで、「指鍼」ともいわれる中国整体・推拿療法やレイキヒ−リングの考え方に触れ、
生活におけるさまざまなことに対する見方が広がっていきました。
それが何だかとても面白くて、興味のむくままに、その方面のいろいろな書物を読みあさりました。
整体師として精神病棟での勤務を経て、「心」と「体」のバランスというものが、本当に個々さまざまであることを実感。
引き出しを増やすべく、さらに模索が深まっていきました。
「先生、私らこんなとこいてほんまに治ると思います?」
患者さんのそんな一言も、人が本当に癒されて、症状の回復に向かうために必要なことはなんだろうと、
考えを広げるひとつのきっかけとなりました。
その後、より多くのお客様と接したいと入社した、大手SPAでの忙しい勤務の中で自分の体を壊しかけたことから、「癒し」という仕事において、施術者が体を酷使して、
ただただ人数をこなしていくような、勤務の現状に疑問をもちました。
決められたコースの中での、時間や施術方式の制限にもジレンマがありました。
特に短い時間で要望のところのみを強くもみほぐすようなことは、一時しのぎでしかない上、どんどん体を痛めていくことになります。
どんなに体がゆるんでも、再び全く同じ状態で来店されるお客様の体に触れるたび、施術者が一方的に何かを施すだけではなくて、本人「自身の力」が動き出すようなちょっとした手助け、そんな働きかけができたらいいなと、思うようになりました。

模索の中でヨーガを学びはじめて自分の体が回復しはじめたこと
ヨーガを勧めたお客様の体の状態がみるみる良くなっていったことから
ヨーガ療法を学び、そして中医学にヨーガを取り入れたというマッサージ、
タイマッサージに興味を持ちました。
施術者、受け手が共にほぐれる、二人ヨーガといわれるタイマッサージ。
求めるものがそこにあるような期待をもって
本格的に学ぶため、タイの北方、チェンマイへと足をのばしました。
いくつかのスクールで学んだ後、
タイマッサージの巨匠、ピシェット先生(Pichest Boonthumme)のもとで数ヶ月を過ごしました。

シャーマンのようでもあるピシェット先生の道場には、噂を聞いて色々な国の人が訪れます。
道場では特に決まったカリキュラムはありません。
その時々の生徒を前に、生きた授業が行われます。
ピシェット先生はよく笑います。
ピシェット先生の教えはごくシンプルです。
「何よりもまず第一に、自分の体を大切に」ということ
「テクニックを追うのではなく感じることを大切に」ということ。
その話は、毎日のように何度も繰り返されます。
その一番大事なことが、おろそかにされているためです。
二人ヨーガといわれるはずのタイマッサージですが、
実際には施術者が施術をおこなって疲れをため込んだり
体を痛めていくような状況が、日本でも数多くあるように思われます。
私自身を含め、整体仲間でもタイマッサージ仲間でも
施術で体を痛めたり、腰椎ヘルニアになってしまった人を、何人も目にしました。

色々と学ぶほどに
体の手当てって、きっともっとシンプルでいいんじゃないかなと思いはじめていた私は、その道場を始めて訪れた時に、これまで学んだいろいろなテクニックを一度すべて頭からはずすことに決めて、そのシンプルなふたつのことに、体をなじませていきました。
タイマッサージの様々なストレッチテクニックや解剖学や経穴(ツボ)の知識といった、人の手でつくられた知識の枠にまずあてはめるより前に、
見て、触れて、そのままを感じとること。
力まず、リラックスした体で施術を行うこと。
リラックスしているからこそ、感じ取れる、「そのままの」体の声を聞き取ることができる。
施術者の体に無理がないのと同時に、
受け手の筋肉もリラックスして深部からゆるみはじめる。
共にゆるんだ状態であるからこそ、表面的でない、本当の効果があらわれる。
求めていた、個々の体に沿う施術の軸となる、もっともシンプルで大切なことをようやく実感しました。
道場での日々のおかげで、施術で疲れる、体を痛める、受け手の疲れをもらう、
といったことから大きく解放されました。
現在はむしろ、コンスタントに施術をしているほうが体の調子が良いようで
ライフワークとしてかかせないものになっています。
実生活においても、
ゆっくりと深呼吸をして、リラックスする時間をとること。
体の内側を感じて、その時々で、楽な、心地よい方向を探してみること。
より調和のとれるところを探して、内側から広がる可能性に気付いていくこと。
たくさんの情報があふれる世の中で、外側にむきすぎた意識を
しばし、内側に戻してみる。
あれやこれやの健康情報にふりまわされてガチガチになるよりも、
シンプルに、そのことが一番大切なんじゃないかと、思います。
余分な力をぬいて、
楽に、楽に、本当の意味でここちよい方向へ。
なかなか、それが難しくもありますが。
(※「楽に」というのはさぼったりなまけたり、という意味合いではありません。
ちなみに、内側を静かに見つめて落ち着くことから遠ざかってしまった、
流行りのエクササイズ的ヨーガで体を痛めた生徒があまりにたくさん訪れる為、
ピシェット先生は、NO YOGA!! Just Relax!! とよく叫んでいます。
※ヨーガそのものの否定ではありません。)


「体」への「働きかけ」の世界に足を踏み入れはじめた時、
ああ、これは一生勉強だなと感じたとおり、
おもしろい縁の広がりと、掘り下げるほどにシンプルになっていく発見が楽しくて
どうにも探求が止められなくなってしまいました。
探求の中で、もっともしっくりときたひとつの見解は
「体はもともと自分で治る力を備えている」ということです。
怪我や心理的ストレス等でその本来備わっている自己治癒力の動きが鈍っている。
それがうまく動き出すように、
こちらの意図を入れずに耳をかたむけ、ほんの少し、手助けをする。
外から力を施すのではなくて、本人自身の力が動き出すような、働きかけ。
これまでいろいろな国の歴史の中でつくられてきた、
たくさんの体のお手当があります。
体に合うもの、好みもそれぞれですが、
その中で、私が出会うことが出来たいくつかをご紹介して、心身への新たな発見や変化の一つのきっかけになればと思います。
探求をはじめてから数年、
たくさんのご縁と助けをいただいて、念願のサロンオープンに至りました。
またこの場所から、面白い、素敵なご縁が広がっていくことを願いつつ
現在も、よりシンプルで、本人自身の力が主体となる、体本来の力を引き出すような働きかけについて、探求を続けています。
theraist 中川美樹

